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電力自由化後も変わらない電力供給の仕組み
東京電力など、地域の電力会社から、新電力に契約切り替えを行った場合でも、物理的な電力供給の仕組みは今までと変わることはない。
電気は『発電所 → 送電線 → 変電所 → 配電線』を通り、各家庭などに供給されており、
この物理的な電力の流れは『電力自由化後も同じ仕組み』で供給される。
電力における 3 大部門
1. 発電部門
2.送配電部門
3.小売部門
3 つの部門の役割
発電部門の役割
発電所(太陽光・風力・水力・火力・原子力・地熱・バイオマスなど)を運営し、電気を作っている。
送配電部門の役割
発電所と電力消費者をつなげる送電線・配電線などの送配電ネットワークを管理している。
また、この送配電ネットワーク全体の電力のバランス(周波数等)を調整。
停電を防ぎ、電気の安定供給を管理する要の部門。
小売部門の役割
料金メニュー・プラン・サービスなどを提供し、電力消費者と契約する窓口で、電力消費者の需要をまかなうために発電部門から電力を調達している。
電力の自由化により、この小売部門に『新電力』が参入できるようになった。
配送電の仕組み
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(c) 経済産業省 資源エネルギー庁
電力自由化後も電気の品質や信頼性は変わらない
送配電部門の役割は、
『送配電ネットワークの管理』
『停電の抑制』
『電気の安定供給』
『電力のバランス(周波数等)の調整』
であることから、ノウハウや技術・それ相応の資本を持たない企業による新規参入は現実的ではない。
そのような理由から、電力自由化後も、政府から許認可を受けている、各地域の電力会社がこの役割を担当する。
そのため、どの小売業者(新電力)から電力を購入したとしても『これまでと同じ配送電ネットワークから届けられる』ため、電気の品質や信頼性が変わらない。
配送電部門の『中立性』を保つ法的処置
電力自由化前は『発電・送配電・小売』の全てを地域の電力会社である、例えば『東京電力』という 1社で完結することができた。
自由化後は、引き続き地域の電力会社が『送配電部門』を担当をすることになる。
そこで政府は『送配電部門の中立性』を保つため、地域の電力会社を『3 部門に分社化(法的分社化)』させる処置を講じており、
発電部門:東京電力 フュエル & パワー 株式会社
送配電部門:東京電力 パワーグリッド 株式会社
小売部門:東京電力 エナジーパートナー 株式会社
のように、全国 10 の地域の電力会社はそれぞれ、2020年までに3部門に分社化される。
Eye catching image by Fre Sonneveld (Berlin)